遠くの街

本日の久万川

2015.09.21

高知市 久万川

高知市中心部には、久万川、江ノ口川、鏡川の3つの川が街を東西に横切るように流れています。今回はその一番北に位置する久万川(くまかわ)についてご紹介します。

日常の側を流れる川

久万川は高知市を西から東へ向かって流れる二級河川で、東端で国分川に合流して高知港に流れ出ています。水量はあまり多くなく、川の中には背の高い草が青々と茂っています。カメや鳥、カニ、魚などいろんな生き物が見られるのも特徴で、初夏にはホタルが観察できる場所もあります。

久万川
鉄塔への道を残して生い茂る夏草。手前には魚群の影が見えます。

いつでも誰かの気配がする

久万川の周りは住宅や学校が多く、いつ行っても誰かの気配がするのどかな場所です。早朝から夜まで、堤防にはランニングやウォーキング、通勤・通学、犬の散歩と老若男女さまざまな日常が行き交っています。日が暮れるとぽつりと小さな屋台が現れたり。

高知市 久万川
一般道路から堤防へ入りやすいのも、生活に溶け込んでいる理由のひとつかも。川幅と堤防の距離感もちょうどいいのです。堤防へは車両は入れないので安心して散歩やジョギングができます。

私が中高時代を過ごした町の川辺といえば、何となく寂れた空気が漂っていて、プチ不良な輩の溜り場になっていたり、訳のわからないゴミが散らばっていたりとあまり良い印象がありません。少なくとも、一人で歩きたい雰囲気ではありませんでした。
ですから、久万川のクリーンで健やかな空気を感じるたびに、軽い感動を覚えるのです。

人生の舞台背景

久万川を走る学生

以前友人が高知へ来てくれた際、一緒に久万川沿いを歩いたときの言葉です。

理想の土手だった。
この土手が、生まれ育った家の近く、もしくは通った学校の近くにあるかどうかで人生は異なる、と思った。
唐突に気づく。
わたしが求めていたのは、川じゃなくて土手だったんだと。川はわりとどこにでもあるけど(うちの近所にもすごい濁ったのがそういえばあった)、こんないい土手はなかなかないって!
高知の旅 その2|NY◎へなちょこダイアリー より

そうなんです。こんないい川、いい土手が人生の側を流れているって本当に素敵なことです。

川沿いを散歩していると、ベビーカーを押したお母さんともよくすれ違います。川辺の生き物に話しかけるちびっことお父さん、自転車で連なって走り抜けていく学生達、堤防に腰掛けて月見する女子高生、ビギナー感あふれるジョガー、年季の入ったランナー、いつまでも「いつもの調子」でつるんで行くおんちゃん達、言葉少なに気遣い合う老夫婦…。

日常に馴染みすぎていて、ずっと暮らしている方からすれば当たり前かもしれませんが、穏やかな川の流れとともにそれぞれが歩を進めているこの風景を私はとても愛おしく思います。

夏の久万川
健やかなるとき病めるとき…私は落ち込んでいる時の方が足が向きます。歩くと必ず良い気分になります。

憧れの花壇に仲間入り

久万川の花

もうひとつ、私が久万川を好きな理由は、いつ行っても季節の花が咲き乱れていることです。特に南岸の外側の土手には花壇がずっと続いていて、堤防の上を行こうか外を行こうかいつも迷うほどです。

地域の人々に育てられた花の道

先日会社を退職した日、気持ちを落ち着けるために少し遠回りをして久万川沿いを歩いて帰りました。
ちょうど花の世話をしている方がいたので、思い切って声をかけてみました。
尋ねると、久万川沿いの花は周辺の住民の方がそれぞれの持ち場で思い思いの植物を育てているとのこと。市や行政によって管理されていると思っていたので、有志の方のお世話で美しい花が保たれていると知り、驚きました。
確かにそう言われてみれば、めいめいの花が奔放に咲き誇っている様は、右に倣えの画一的な花壇にはない力強い魅力に溢れています。

kumakawa_taniku
コンクリートのちょっとしたスペースを利用して、多肉植物を育てている場所も。

一言二言話すうちに、
「花壇やりたいんですか?」
と、あれよあれよと話が進み、気づけば初めてのお宅のインターホンを鳴らしている私がいました。

お世話をされていたお母さん曰く、長く花壇をやってきたけれど、お年寄りで作業が大変になってきた方も多いので、一部分でも手伝ってくれるなら大歓迎とのこと。私も年々ベランダが手狭になってきて、もっと植物を育ててみたいと思っていたので、えいやっと乗ってみました。出てきてくれたおばあさんもひとつ返事で快諾してくださり、めでたく憧れの花壇デビューを果たすことになりました。
この間ほんの10分程度。
何というか、改めて高知の人の懐の深さ・冗談みたいな人の良さを痛感した出来事でした。

小さな花壇ができました

kumakawa_my

そんな訳で、大好きな久万川沿いに小さな「わたしの花壇」ができました。
任せてもらったからには、ちゃんとお世話をしなければいけません。まずは夏の間に蔓延っていた草引きをしました。花壇は土手の斜面にあるので、なかなか下半身が鍛えられる作業です。硬くなっていた地面を掘り起こすと、ミミズが出てきました。元気な土の証拠です。

地植えの植物を育てるのは初めてなので、詳しい友人に指導を仰ぎ、何を植えようか楽しく悩みます。いくつかホームセンターを回れど、時期が悪かったのか教えてもらった花は見つからなかったので、ひとまず気に入ったものを2種類買いました。アメリカンブルーとカルーナという花の苗です。植えた後は気になって、何度も様子を見に行ってしまいました。

その後、日曜市のまるふく農園さんでプロストラータスという種類のローズマリーを買いました。ベランダでもローズマリーを育てていますが、違う種類なので、どんな風に育つか楽しみです。

友人曰く「地植えの植物は水は基本的に天候任せだし、半分勝手に育ってくれる感じが面白い。来年も再来年も春は来るから、自分が惹かれるお花から花壇作りを始めたらいい」と。

ふとしたきっかけから地域の花づくりの仲間に入れてもらえ、植物を通して、季節やお天気など自然をより身近に感じられそうで、うれしい予感でいっぱいです。
先輩方の花壇づくりに学んだり、商店街の花屋さんで苗を探したり、久万川のある街がますます好きになりそうです。

参考リンク

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