造形室ノート

TCG AWARD 2015 デザイントーク

2015.05.31 ,

TCG Award 2015

5月29日〜31日、高知県立美術館にて高知版ADCともいえる「TCG AWARD 2015」が行われました。30日にはゲスト審査員として葛西薫さん、新村則人さんをお迎えし、公開審査が行われました。審査後の講評トークを聴いてきたので、心に残ったことをメモしておきます。

※走り書きのメモを元に思い出しながら書いたため、実際お話された内容とは異なる点があるかもれませんがご了承ください。

大突出がみたい

日本のデザインシーンの第一線(=東京)で活躍し続けながら、全国各地の審査会にもひっぱりだこのお二人。高知をふくめ、年々地方のデザインレベルは上がってきていて、今や地域による差はほとんど感じられないそうです。

葛西さん「地方っていう言葉もいやだし」

東京から地方の審査会へ招かれているという立場上、東京で見慣れているものでなく「その土地らしい」ものを選出しがちだけれど、その土地の人にとってどちらが良いかというのは別問題、というお話が印象的でした。都会的なもの、いわゆる「地方らしい」もの、どちらが良い悪いというのでもないということです。
 

tcg2015_yamamomo
やまもも歯科クリニックのロゴマーク。
(出典:http://tcg55.com/
tcg2015_tomato
トマトサミットのポスター。100個以上の消しゴムハンコを使って制作されたそう。
(出典:http://tcg55.com/

新村さん「らしさをうまく出しているものに惹かれる」

そんな中で、商品やサービス、そのものの持つ魅力や本質的な「らしさ」を引き出しているデザインを評価されたとのことでした。

結果、グランプリには「やまもも歯科クリニック」のロゴマーク、準グランプリに「トマトサミットポスター」が選出されました。

以上のような全体の傾向がありつつ「大突出がみたかった」というのがお二人の共通したご意見でした。「これがグランプリ間違いなし!」という、心を掴んで離さないようなパワーを持った作品があると良かったとのことでした。

グランプリ・準グランプリの他、審査委員賞、各部門賞の詳しい結果は TCG公式サイトの結果発表ページ に。

葛西さん「突き抜けたものを作るには、周りをうかがって合わせたり逸らしたりするよりも、内側に向き合って、これだと自分が感じるものを開き直って思いっきり出すことが大事。」

 
葛西さん「Webはがんばりすぎないのが良い」

ウェブデザインに関しては、グラフィック的な技巧を凝らしたものよりも、いかに情報へスムーズに到達できるかが評価のポイントとなったようです。
好むと好まざるとに関わらず、これからの時代かならず必要になるウェブのデザイン。紙に比べてまだまだ成熟途上のなかで、何か奇をてらった表現をしてやろうというのではなく、心良くわかりやすく情報を伝えるのがデザインの役割、とのことでした。
先述の「突出」の仕方でいえば、「今まで見たことがないほど使いやすい!」というのも今後開拓の余地がある突き抜け方だろう、というヒントもいただきました。

位置のエクスタシー

「デザインの流儀は?」というテーマで、お二人のデザインの舞台裏を覗けるような貴重なお話をうかがえました。

葛西さん「数字に置き換えない、数値化しない、というのが流儀。紙の端から何ミリ・何ミリにモノを置くのではなく、そのモノにとって良い風景を切り取ってそれを紙面にうつしていく。配置、レイアウトは気持ちの良い場所、位置のエクスタシーを探る作業。」

tcg2015-layout

新村さん「位置の気持ちよさや、デザインをしていて良いと感じる心というのは、自分の原体験、原風景とつながっている。デジタルでの作業は道具として使えるのが当たり前だが、それも実体験の上に成り立つもの。」

 

さいごに

200点以上出品された作品のひとつひとつを丁寧に見て審査をしてくださったお二人。一流のデザイナーさんは見る目の解像度が違うと感じました。社会全体を俯瞰しつつ、目の前のものに繊細に心をふるわせる、焦点を合わせる筋力がものすごいのです。

また、ミーハーな感想になりますが、葛西さん、新村さんともに人としての魅力があふれまくっていて、一気にファンになってしまいました。
「均質化する世界の中で突出する鍵は『個』のなかにある」とのお話も、お二人から発せられることで一層心に染み込んできました。

今回私は何も出品できませんでしたが、明日からまたひとつひとつ目の前の仕事に全力で取り組んでいきたいと思います。葛西さん、新村さん、ありがとうございました!

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