遠くの街

やまもも

2015.07.05

梅雨の晴れ間の陽射しが強くなってきました。
この時期だけに収穫出来る幻の果実「やまもも」を食べたので、ご紹介します。

幻の果実・高知では「おすそわけ」

やまももは本州の南西部と四国や九州、沖縄に自生しているそうですが、食用に生産しているのは高知・徳島・岡山・兵庫の4県だけのようです。私は兵庫県出身ですが、地元にいた頃は見たことも聞いたこともありませんでした。

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樹上での熟れ具合とお天気を読んで収穫されます。

やまももの旬は梅雨の真っ只中の6月中旬〜7月上旬。雨に打たれると水っぽくなるので、収穫のタイミングが非常に難しいと言われています。
収穫された実は日持ちがせず、とてもデリケートなため、粒揃いの商品はなかなか市場に出回りません。やまももが「幻の果実」と呼ばれるゆえんです。

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高知ではお店や市でも販売されていますが、育てている人からの「おすそわけ」でいただくパターンが多いようです。“地産地消”、“ふるさとの味” を地で行く果物なのですね。

つぶつぶ素朴で甘酸っぱい

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近くのスーパーでお手頃なパックを見つけたので買ってきました。
まずはそのままいただきます。
表面のつぶつぶした舌触りとともに、甘酸っぱい味と野趣あふれる香りが広がります。桃というよりは、ラズベリー系の味や食感に近いでしょうか。
残りは桃缶とメロンと一緒にフルーツ白玉にしました。表面のつぶつぶにシロップが絡んでおいしかったです。

通学路の風景

やまももは高知県の県花でもあります。
「やまもも 高知」で検索すると、いろんなお店や施設、団体の名前として親しまれている様子がよく分かります。

やまももは街路樹にもされていて、雨上がりの朝には小さな実がたくさん落ちています。
追手前高校そばの通りで拾った実です。

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やまももくんとやまももちゃん。2015年TCGグランプリ を受賞した「やまもも歯科クリニック ロゴマーク」の似顔絵です。

子ども詩集『やまもも』

やまももの名前を冠したもので、最も有名なのは『高知県子ども詩集 やまもも』でしょう。

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県の小中学生の詩が掲載されており、1976年の創刊以来、毎年発行されています。
高知の豊かな自然と文化の中で営まれる日常風景や子どもたちの心のふるえが、飾らない言葉で切り取られています。

海と山の詩をひとつずつご紹介します。

「こしきあみ」
野根小1年 松田たけかず

ぼくも にいちゃんも
あみを ひっぱった。
あみの なかに
ぶりが ようけ はいっちょる。
ばたくって 
しよが ビチャ ビチャ ちる。
おとちゃんの かおにも
ちってしもた。
みんな うれしかって、
しよが ちらん ように
よこむいて わろうた。

高知県子ども詩集『やまもも』第2集(1977年)

「こしきあみ」は漁をする小型の定置網。
活きの良いブリがたくさん獲れてうれしい家族の気持ちがきらきらと伝わってきて、思わずこちらまで笑顔になってしまいます。

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「山のことをはなした」 
猪野々小 4年 西本 学
 
六時ごろ酒を五合ばあ
ストーブでぬくめた。
わいたろうかとちっと味みをした。
六時半ごろお父さんがもどって来た。
コップに酒をついで飲ませた。
お父さんは、
うまそうにゴクンと飲んだ。
「お父、今日はどればあつんだぞ。」
ときくと
「今日は、五トン三百つんだぞ。」
とじゃこをかじりもって教えてくれた。
「おらも、ふとったら
三りんでパルプをつむけん、
三りんをこうてくれえや。」
と言った。
お父さんは、
「こうちゃる。こうちゃる。
 なんぼでもこうちゃる。」
と、言ってくれた。
ぼくは、はようふとりたい。

高知県子ども詩集『やまもも』第8集(1984年)

「〜ばあ」は土佐弁で「〜くらい(程度)」、「ふとる」は「大きくなる、成長する」という意味です。「パルプ」は紙の原料のパルプ。高知県は森林面積の割合が全国1位で、紙産業もさかんなのです。
この詩の作者の母校も香北町猪野々の山の中にありましたが、2005年に廃校となり、130年の歴史に幕を閉じたそうです。

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おすそわけの甘酸っぱい味に、通学路に落ちていた小さな実、原稿用紙に書いた詩……
やまももは高知の人にとって、なつかしいふるさとの代名詞なのでしょうね。

参考リンク

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