写真:展のポスターを貼ったスタンドが廊下に立っている

困った!を解決するデザイン展を開催しました

2024年4月24日(水)〜4月28日(日)、高知市文化プラザかるぽーとの市民ギャラリー第5展示室で「困った!を解決するデザイン展」を開催しました。5日間の会期中に185名の方にご来場いただきました。

SNSやインターネットの発達により、わたしたちが日常的に触れる情報量は爆発的に増えました。便利なツールやサービスが普及し、職種を問わず情報発信のデザインをする機会が増えています。その中で、情報が受け取れなくて困っている人、伝えたいことが伝わらなくて困っている人がいます。
本展では書籍『見えにくい、読みにくい「困った!」を解決するデザイン』をもとに「困った!」の発見と解決を体験する展示を行います。皆さまのお越しをお待ちしています。

DMの案内文より

展示の構成

展示は書籍の章立てに合わせて、色、文字、ことば、図解、UIのコーナーで構成しました。

写真:書籍『見えにくい、読みにくい「困った!」を解決するデザイン』と、同じサイズのブルーのDM、モノクロのリーフレット。
書籍と展示のお知らせDM、展示目録リーフレット
会場内の配置図と目録。
1 困った!を解決するデザイン
1.1	困った!を解決するデザイン
1.2	登場人物
2 色で困った!
2.1	色で困った!
2.2	色なし信号
2.3	黄色い矢印
2.4	色の見分けにくさを体験してみよう
2.5	カラーユニバーサルデザイン配色改善のコツ
2.6	コントラストテーブル
2.7	CUDカレンダー
2.8	色名コミュニケーション
3 文字で困った!
3.1	ロービジョン体験メガネ
3.2	文字で困った!
3.3	大きくて見分けやすい文字
3.4	行間と行長
4 ことばで困った!
4.1	ことばで困った!
4.2	はいられん
4.3	言い換えてみよう
4.3	文章の整理とデザイン
5 図解で困った!
5.1	どっちに逃げる?
5.2	図解で困った!
5.3	グラフの型選び
5.4	どっちつかずメニュー
6 UIで困った!
6.1	User Inyerface
6.2	UIで困った!
6.3	さまざまな閲覧環境
6.4	困ったUIモックアップ
7 困った!を発見するデスク
7.1	困った!を発見するカード
7.2	困りごと相談デスク
8 困った!を解決する本棚
『見えるとか見えないとか』 ヨシタケシンスケ 作, 伊藤亜紗 そうだん
『いろ・いろ 色覚と進化のひみつ』 川端裕人 作, 中垣ゆたか 絵
『ちびまるのぼうけん』 フィリップ・ヌート 作・絵
『読書バリアフリー 見つけよう! 自分にあった読書のカタチ』 読書工房 編著
『ミスマッチ 見えないユーザーを排除しない「インクルーシブ」なデザインへ』 キャット・ホームズ 著
『デザイニングWebアクセシビリティ』 太田良典, 伊原力也 著
『Webアプリケーションアクセシビリティ』 伊原 力也, 小林 大輔, 桝田 草一, 山本 伶 著
『高齢者のためのユーザインタフェースデザイン』 ジェフ・ジョンソン, ケイト・フィン 著
『「わかりやすさ」をつくる13のポイント』 スローコミュニケーション 編著
ほか
出入り口の横に「みんなの困った!」コーナー
写真:「色で困った!」と「カラーユニバーサルデザイン配色改善のコツ」というタペストリーが壁にかかっています。黄色い矢印やカレンダーのパネルがタペストリーの間に展示されています。手前に白いブロック状の展示台が2つあります。
色で困った!コーナー
写真:「文字で困った!」というタペストリーや、視力検査のランドルド環のようなポスターが壁に展示されています
文字で困った!コーナー
写真:「図解で困った!」というタペストリーや、非常口のサイン、グラフのパネルやポスターが壁に展示されています
図解で困った!コーナー
写真:「見えなくて困った!」「ばらばらで困った!」など困りごとのタイトルとイラストが書かれたカードが机の上に並んでいる。
困った!を発見するカード

展示のキャプションでは、書籍の6人の登場人物にガイド役を務めてもらいました。

写真:「困った!を解決するデザイン」というタペストリーと、6人の登場人物のイラストとプロフィールが書かれたパネルの展示。
登場人物のイラストは玉利樹貴さんによるもの
写真:「無断立入禁止(はいられん)」というパネルとそのキャプション。高知女子大学・高知短期大学グラウンドのフェンスに設置されていた看板のレプリカ。ケイくんのセリフ「むだんたちいりきんしってふりがなが書いてあるより子どもにもわかりやすい!」

会場の中央にはおすすめ書籍とベンチを置き、来場者に自由に読んでもらえるコーナーをつくりました。

写真:2つの黒いベンチの間に白いブロックが置いてあり、ブロックやベンチの上に本が載っています。
写真:会場中央の本とベンチコーナー

見てさわって体験できる展示

今回の展示では、来場者が「作品を鑑賞する」形式ではなく、困りごとの発見や解決をするデザインのプロセスを体験できるようにしたいと考えました。

シミュレーションツールを使ったり、展示物を手で動かしたり、改善の過程を見たり、実物サイズで体感したりといった展示の工夫をしました。

写真:白いボックス状の什器を使った「色の見分けにくさを体験してみよう」コーナー。色相環と、アプリのQRコード、パンケーキ型のバリアントールが置いてあります。
色覚シミュレーターの体験コーナーでは、バリアントール色のシミュレータを紹介
写真:「色のコントラストを体験してみよう」のコーナー。カラフルなパネルの上にContrastという白い文字が書かれたアクリルカードが載っています。
説明文:カードをいろんな色の上に動かしてみましょう。文字と背景の色の組み合わせによって、読みやすさは変化します。色のシミュレータを使ったり、遠くから見たり、いろんな見え方を試してみましょう。
写真:さまざまな色の背景と、青、緑、赤色の文字のアクリルカードを組み合わせたところ。
写真:白い文字のアクリルカードを、ピンク色と青の背景の間で動かしているところ。

文字色と背景色のコントラストを体験できる「コントラストテーブル」では、子どもたちも直感的にカードを動かして遊んでいました。

写真:色分けをしたカレンダーの下にキャプションがついています。「ケイくんの視点で見ると…」というカードを引き出すと、カレンダーに色覚シミュレーションをかけた結果が見える仕掛け。
色覚シミュレーションの結果を引き出し型のキャプションで紹介
写真:正方形の絵記号が並んだパネルに切り込みが入っています。1つの絵記号をめくって「書く」という文字が見えているところ。
コミュニケーション支援用絵記号のパネルでは、絵記号をめくると意味が見える仕掛け
写真:「ロービジョンを体験してみよう」ぼやけ体験メガネと視野狭窄体験メガネ。黒い紙製のメガネが2つと、冊子が台の上に置いてあります。
PLAYWORKSさんのロービジョン体験キット
写真:UD角ゴ スモールで書かれた文章の上にイエローのリーディングトラッカーをあてています。リーディングトラッカーは定規のような形で、読んでいる1行をハイライトし、前後の行を隠す道具です。
リーディングトラッカー(キハラ)とUDフォントの紹介
写真:床に5センチ幅くらいの黄色いテープが敷いてあります。
視覚障害者歩行テープ「ココテープ」の設置
写真:「UIで困った!」のタペストリーの横に、さまざまなウェブの閲覧環境が映った11枚の写真が壁にランダムに留められています。
UIで困った!コーナーでは、さまざまな閲覧環境をピンナップ風に展示
写真:ウェブサイトの入り口ページを表示したタブレットの上に「できるだけ速く入力完了してください(最後までたどり着けるかな?)」という吹き出し型のパネルがついています。
最悪のUI体験コーナー(User Inyerface
写真:スマホサイズのモックアップが4組、壁に展示してあります。それぞれ下に登場人物のセリフ入りキャプションがついています。
「困った!」UIの改善前後をスマホサイズで展示

誰かの「困った!」は改善のヒント

会場の出口には身の回りの困りごとを付箋に書いてもらう「みんなの困った!」コーナーを設けました。他の人の困りごとに足を止めて共感する方も多く、誰かの困りごとの解決がみんなの利益になることを可視化する場になっていました。

写真:困りごとやコメントを書いたカラフルな付箋。
「スマホの電源切るとき、音量ボタンも押してスクリーンショットとっちゃう」「サイトの広告の×が押しづらい。うすい×とか、後から出てくる×とか…」などの困りごとに、「わかる!」「よくやる」といった共感の付箋が集まっています。

ご来場、ご協力いただいた皆さまありがとうございました!
企画展を行った経緯や振り返りは、改めて記事にまとめたいと思います。